野外での強風による災害を防ぐためのガイドライン

[5] 野外での強風による災害を防ぐためのガイドライン

平成18年4月14日

 野外におけるコンサート・イベントにおきまして、降雨への対策については、機材やシステムを雨による損傷から守るという意味で各業種が独自の方法 で対応しており、合理的な形で確立してきているように思えます。それに対して、強風への対応につきましてはいまだに方法が確立しておらず、いったん災害が 起きると極めて大きな損害と、場合によっては重大な人身事故にも直結する危険性を孕んでいるにもかかわらず、"とりあえずは現場処理"という、いささか心 もとない状態が依然として多く見受けられています。

 NPO法人 日本舞台技術安全協会では、野外での強風による災害を防ぐための基盤としての考え方と仕組みを確立すべく、今回ガイドラインを作成しました。本ガイドラインは、次のふたつの側面から提議しております。

★ コンサート・イベント等の運営組織の中に、『風雨防災対策委員会』を設置し、風雨(主に強風)による災害の防止を検討できる仕組みを作る。

★ 雨(主に強風)に対処するための行動に関するガイドラインを示す。(労働安全衛生法に準拠)

 以下、各項目についての提議を行います。発注者各位(主催者、制作会社、イベンター、プロモーター等)におかれましては、事業を行う場所において その請負人の労働者の労働災害を防止する措置を講じることが義務付けられております(労働安全衛生法第31条)こともご理解いただいた上で、また会員各位 におかれましては、具体的な防災の方法論も併せて十分にご検討いただいた上で、野外の大規模コンサート・イベント会場において強風などによる災害のリスク を限りなく小さなものとするべく、ここにご高配をお願いするものです

 1.防災への仕組み作り
 コンサート・イベント等では、一般的に開催要項の中に運営 組織が盛り込まれており、その中には統括本部、運営本部、制作本部などを各頂点として、主催者、会場、警備、各制作部門等がそれらの構成員となっている形 のものが多い。そのうちで防災にかかわるものとしては、会場警備・整理、救護、周辺環境対策等が定められてはいるものの、暴風雨時等への対応は、事実上、 関連する現場スタッフにその判断が委ねられている状態で、合理的、かつ迅速な判断を行うための仕組みが整っているとは言い難い。
 そこで今回、当協会は、「仕込み〜本番〜撤去」の一連の運営組織の中に、『風雨防災対策委員会』を設置することを提案したい。必要な構成員はおおむね下記の通りである。
  主催者
制作責任者
舞台監督
舞台、照明、音響、映像、その他各部門の設営・設置責任者
※ 必要に応じて、会場施設担当者、一級建築士等の有資格者のアドバイスを受ける。
 この『風雨防災対策委員会』は、コンサート・イベントの設 営開始に先立って組織され、設営開始段階から撤去終了時までの当該期間内にその現場に設置され、必要に応じていつでも迅速に招集できる体制が確保されてい る必要がある。そして当該期間内に暴風雨等が予想される場合、そのレベルに応じて具体的にどのように対応していくかを事前に協議しておくと共に、それに関 連したスタッフや機材の動き、制作スケジュールの変更、本番への影響の度合い、更にはこれらが経費に及ぼす影響等も含めて合意し、全体が共通の認識のもと で作業ができるようにコントロールすることを主眼とする。そして現場においては、状況の変化に応じてきめ細かく対応し、それぞれの時点での最良の対策を更 新していくことが求められることは、言うまでもない。

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 《総則》
(目的)
 野外コンサート・イベントにおいて風雨による災害を防止するために、災害対策基準を定め、責任体制を明確にし、防災に 関する活動をサポートするなど、風雨による災害防止に関する総合的かつ計画的な対策を推進することにより、催事の確立、ならびに関係者・労働者の安全と防 災の確保を目的とする。

(名称)
 風雨防災対策委員会とする。

(事前計画)
 野外コンサート・イベントの設営開始に先立って組織され、当該期間内での風雨に対する防災対策を具体的に協議し、すべての構成員が共通の認識の下で行動できるようにする。

(組織、および役割分担)
 『風雨防災対策委員会』の組織図と役割分担の一例を、下図に示す。


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  2.強風に対処するための作業上のガイドライン

1.

基礎構造物の強度計算は、概ね風速30m/sに耐えられるものとする。


2.

風速計を所定の場所(構造物の中で最も高く、障害物のない場所)に設置し『風雨防災対策委員会』がこれを管理する。


3.

災害対策基準





10分間の平均風速が10m/s超(労働安全衛生法上の「強風」)を基準とする。(強風下での作業禁止) 判断・対策のレベルを2段階に分け、具体的な安全措置を施す。



第1段階=風速が10m/sを超えた時点


パネル、幕類、装飾物等のチェックと補強

重量吊り物(屋根、トラス、照明機材、スピーカー、映像機器等)のチェックと補強





第2段階=風速が継続的に10m/sを超えると予想される場合


パネル、幕類、装飾物等の撤去

重量吊り物(屋根、トラス、照明機材、スピーカー、映像機器等)を着地・固定、または必要に応じて撤去する

高く積み上げた機材(スピーカー等)をおろす

設備倒壊を回避するための対策(ワイヤー張り、ウェイト増設等)を施す

その他、『風雨防災対策委員会』で協議を行い、必要な処置を施す


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